4歳と2歳を乗せたあと、Grabの運転手は「そんなに嫌なら、今ここで降りるか」と言いました。
子どもを2人連れて、その場で降りるわけにもいきません。車は、そのまま走り出しました。
「クアラルンプールは子連れでも安全? 何に気をつければいい?」。出発前に調べた「クアラルンプール旅行の注意点」は、スリ・水・暑さの話ばかりでした。実際に1ヶ月暮らしてみると、本当に困ったのは、別の6つでした。
結論から書くと、クアラルンプールは、子連れで1ヶ月暮らせる街です。 ただ、楽しいことだけではありませんでした。この記事では、実際に起きた困りごとを6つ、対策と一緒に正直に書きます。
これまでの記事では、子どもと行ってよかった場所や費用を書いてきました。今回は、その裏側です。
- Grabで呼んだ車の運転手に「今ここで降りるか」と言われ、乱暴な運転で宿まで帰った
- 普通の麺が激辛。「辛くないよ」と言われた料理も、結構辛かった
- 到着の翌日、ローカルの市場で妻がカルチャーショックを受けた
- Grabは、待っている間に運転手側からキャンセルされることがある
- 2歳の息子が、園でお友達をつねってしまった
- 観光地を離れると、英語が通じない場所があった
事件1:Grabの運転手に「今ここで降りるか」と言われた
1ヶ月でいちばん不愉快で、少しこわかった出来事です。
移動には、配車アプリのGrabを使っていました。家族4人で乗るとき、我が家はいつも、助手席に大人が1人、後ろの席に子ども2人ともう1人の大人、という座り方をしていました。それまで、何も言われたことはありません。
ところが、ある日の運転手は「助手席はだめだ。全員、後ろに座れ」と言いました。理由の説明はありません。私が思わず「何なんだ、この人は」という顔をしてしまったのだと思います。全員が乗り込んだあと、運転手はこう言いました。
「そんなに嫌なら、今ここで降りるか?」
子どもを2人連れて、その場で降りるわけにもいきません。そのまま出発しましたが、運転はとても乱暴でした。おそらく緊急車両用の車線も使っていたと思います。2歳の息子が声を出すと、運転手はときどき後ろをにらんで、大きなため息をつきました。宿に着いて全員が降りると、運転席の窓から痰を吐いて、走り去っていきました。
1ヶ月のあいだ、毎日のようにGrabに乗りました。ここまで嫌な思いをしたのは、このときだけです。それでも、子どもを乗せているときに起きると、たった1回でも忘れられません。
運転手に座り方などを指示されたら、理由が分からなくても、その場では従ってください。納得できない顔をしても、得はありません。子どもを乗せているときは、まず無事に着くことを優先します。Grabなら、降りたあとで運転手を評価したり、アプリのヘルプから報告したりできます。
事件2:「辛くないよ」と言われた料理が、私たちには結構辛かった
食事でいちばん困ったのは、辛さです。
最初の失敗は、ごく普通のローカルの麺でした。見た目は辛そうではなかったのに、食べてみると激辛。子どもはもちろん、大人でもつらい辛さでした。
それからは、注文のたびに「これは辛いですか?」と聞くようにしました。ところが、「辛くないよ」と言われた料理が、私たちには十分に辛い、ということがたびたびありました。
現地の人と話していて、理由が分かりました。「日本人の『辛い』は、僕らにとっては全然辛くないんだよね」。言葉は通じているのに、「辛い」の基準が通じていなかったのです。

子どもの分は、「辛いですか?」ではなく「唐辛子(チリ)を入れないでください」と頼んでください。英語なら「No chili, please. It’s for my child.」です。「辛いかどうか」を聞くと、相手の基準で答えが返ってきます。
事件3:到着の翌日、ローカルの市場で妻がショックを受けた
到着した翌日、近くのローカルの市場に行きました。道にパラソルがずらりと並び、毎日開いている市場です。
野菜や果物が並ぶ中に、生きた鶏を売る店がありました。その隣には、その場で鶏をさばく店。さらに隣には、さばいたばかりの鶏をそのまま並べている店。
妻は、強い衝撃を受けていました。「ここで食べ物を買って1ヶ月暮らさなければいけないなら、住めないかもしれない」。着いたばかりで、まだ何も分からない時期だったので、なおさらだったと思います。
これは、どちらが正しいという話ではありません。日本では見えない場所で行われていることが、ここでは目の前で行われている、という違いです。ただ、初めて見る人、特に着いたばかりで不安な時期には、こたえます。

我が家は結局、食材はスーパーで買うことがほとんどでした。いろいろなスーパーを使いましたが、Jaya Grocer(ジャヤ・グローサー)に行くことが比較的多かったです。最初の数日は、慣れた形の店で買い物をして、ローカルの市場は暮らしに慣れてから行く。この順番をおすすめします。
事件4:Grabは、運転手側からキャンセルされることがある
移動は、ほとんど配車アプリのGrabでした。便利ですが、困ったこともあります。
車を呼んで待っていたら、いつの間にか運転手の側からキャンセルされていたことがありました。「ずっと待っていたのに」となります。子どもを連れて外で待っているときや、雨の日は、特にこたえます。

対策は、待っている間もアプリの画面をときどき確認することと、時間に余裕を持って呼ぶことです。園の送迎のように遅れられない移動ほど、早めに呼ぶことをおすすめします。
事件5:2歳の息子が、園でお友達をつねってしまった
子どものことでも、困った出来事がありました。
2歳の息子は、プリスクールに通い始めたころ、登園のたびに泣いていました。そして、園でお友達とけんかをしてしまいました。
息子が使っていたおもちゃを、別の子が取ろうとした。言い合いになって、息子が相手をつねってしまった、ということでした。
先生は、2歳の息子に「悪い手」について話をしてくれたそうです。手は、人を痛くするためのものではない、という話です。言葉がほとんど通じない2歳の子に、先生がきちんと向き合ってくれたことが、親としてはありがたかったです。

報告を受けたときは、不安になりました。うちの子だけが悪者になっていないか。相手の子は大丈夫か。けれど、何が起きて、先生がどう対応したかまで説明があり、落ち着くことができました。園での1ヶ月については、英語が話せない子を英語だけのプリスクールへに詳しく書いています。
事件6:観光地を離れると、英語が通じなかった
観光地やショッピングモールでは、英語で困ることはありませんでした。
ところが、地元の人しか行かないようなローカルな場所では、マレー語しか通じません。こちらの英語は、まったく役に立ちませんでした。
私は英語を教える仕事をしています。ふだんは「話せる側」です。それが、この場面では完全に「話せない側」でした。言いたいことがあるのに出てこない。相手の言っていることが分からない。英語が話せない人が、海外の人を前にして感じる壁は、こういう気持ちなのかと、初めて体で分かりました。
ローカルな場所に行くときは、翻訳アプリを用意し、指さしで注文できるように料理の写真を見せるのが確実です。「辛くしないで」のような大事な一言は、マレー語でもスマホに保存しておくと安心です。
6つの事件と、対策のまとめ
| 困ったこと | 対策 |
|---|---|
| Grabの運転手とのトラブル | その場では従う。降りたあとにアプリで評価・報告 |
| 「辛くないよ」が結構辛い | 「唐辛子を入れないで」と頼む |
| ローカル市場のショック | 最初の数日は慣れた形の店で。市場は慣れてから |
| Grabのキャンセル | 画面をときどき確認。余裕を持って呼ぶ |
| 園でのけんか | 先生の説明をよく聞く。連絡を文字で受けられる園だと安心 |
| 英語が通じない | 翻訳アプリと写真。大事な一言は保存しておく |
これから子連れでクアラルンプールへ行く方へ
困ったことを6つ書きましたが、どれも、1ヶ月の滞在をやめる理由にはなりませんでした。
伝えたいことは3つです。
1つ目は、子どもを連れているときは、正しさより安全を優先することです。運転手の件は、今思い出しても不愉快です。それでも、あの場で言い返さなかったのは正解だったと思っています。
2つ目は、「辛い」のような感覚の言葉は、基準が違うと思っておくことです。聞き方を変えるだけで、防げます。
3つ目は、着いてすぐの数日は、無理に現地に飛び込まないことです。親が落ち着いてから、少しずつ広げれば十分です。
次の記事では、1ヶ月の親子留学をふり返って、次に行くならこうする、という見直しを書く予定です。


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